
楽天モバイルがFREETELの格安SIM事業の買収を発表
2017年9月26日、格安SIM業界における今年最大とも思われるニュースが飛び込んできました。
業界3位の「楽天モバイル」が、同じく業界5位の「FREETEL」の買収を発表したのです。
なお、この買収により楽天モバイルは業界2位に躍り出ることとなります。
(業界1位はOCNモバイルONEを運営しているNTTコミュニケーションズ)
ただし、買収するのはあくまでも国内MVNO事業のみ。
プラスワン・マーケティング株式会社はFREETELブランドでKIWAMIやREIなどの自社端末開発事業も行っていますが、そちらは買収対象外となります。
従って、楽天モバイルとしてはユーザー数の増加に伴うスケールメリットの追求、プラスワン・マーケティング側はリソースを端末開発に集中させることが可能になるというwin-winの買収であると言われています。
買収の裏に潜む格安SIM事業者の脆弱な財務体質

ところで、FREETELといえば先日の消費者庁による景品表示法違反に基づく行政処分が記憶に新しいところです。
業界最速という広告文言や無料利用アプリが実は有料だったなど、広告内容に不正確さが散見されたというのがその理由ですが、一方で自社端末開発やとりかえ~るなどの斬新なサービス開発などで常に業界に話題を提供してきた格安SIMサービスです。
日本国内でも積極的な店舗展開や広告宣伝によりシェアを拡大し続け、自社端末がスマホ人気ランキング上位に顔を出すこともありました。

しかし、急速な事業拡大の一方で収益は伸び悩み、2017年3月期の売上高は約100億円、営業赤字が53億円となるなど、財務体質はあまり良いものではありませんでした。
2018年3月期には債務超過になる恐れが表面化し、新たな資金調達の道を模索していたようです。
業界5位のFREETELですらこの有様です。
他のMVNO事業者の収益は推して知るべしと言えますね。
OCNモバイルONEや楽天モバイルのように、メイン事業が高収益体質であればMVNO事業における多少の赤字は問題ないレベルではありますが、それ以外のMVNO事業者はかなり台所事情が苦しいのではないかと思われます。
まとめ
現在、日本国内には500社以上のMVNO事業者が存在すると言われています。
総務省でもそのすべてを把握するのが難しいと言われるほど日々新規参入や事業統合が激しい業界ですが、ここまで有名な事業者同士の買収話は珍しいですね。
この買収話がトリガーとなり、この先次々と業界再編話が進んでいくのではないかと思われます。
一気に広がった格安SIMサービスですが、今は事業者の数が多すぎるというのが業界内での見方です。
従って、今後も中小事業者を中心に業界再編がいくつも行われることとなるでしょう。
この記事を書いた人

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福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。
20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。