電力会社と格安SIMにどんな関係が?
電力会社と格安SIM。
一見何の関係もなさそうな両社ですが、実は電力会社資本の格安SIM会社が複数存在していることをご存知でしょうか?
例えば格安SIM大手のmineo。
このサービスを提供しているのは大阪市に本社を置く株式会社ケイ・オプティコム。
同社は関西電力100%出資の会社であり、電力事業を含めたさまざまな通信サービスを提供している会社です。
このように、大手地域電力会社と資本関係にある格安SIM会社は各地にあります。
そしてこのような格安SIM会社を利用すれば、電力料金を含めた生活コスト全般を下げることが可能となる制度もあるのです。
今回は安い格安SIM料金をさらに下げるためのひとつのノウハウとして、電力会社系列の格安SIM利用についてご説明いたします。
電力会社の多角化ビジネス
電力会社が格安SIM事業に乗り出す背景には、2000年頃から始まった個人向け”電力会社の光ファイバー事業参入”が下地としてあります。
以下、各地域電力会社が参入している個人向け光ファイバー事業(FTTH)を一覧にしてみました。
会社名 | 光ファイバー子会社名(サービス名) |
北海道電力 | (なし) |
東北電力 | (なし) |
北陸電力 | (なし) ※関連会社のケーブルテレビ富山でFTTH実施 |
東京電力 | TEPCOひかり ※現在はKDDIへ移管 |
中部電力 | 中部テレコミュニケーション株式会社 |
関西電力 | 株式会社ケイ・オプティコム |
中国電力 | 株式会社エネルギア・コミュニケーションズ |
四国電力 | 株式会社 STNet |
九州電力 | 九州通信ネットワーク株式会社 |
沖縄電力 | 沖縄通信ネットワーク株式会社 |
このように、多くの地域電力会社が個人向け光ファイバー事業に参入しユーザーを獲得してきました。
そして今現在もサービス提供を続けており、光ファイバー事業者として一定のポジションを獲得しています。
そんな電力系光ファイバー事業者ですが、近年のMVNO市場拡大の流れに乗り次々と格安SIM市場へと参入しているのです。
上記の表の中で、現在格安SIMを提供している会社を以下ピックアップしてみました。
- 株式会社ケイ・オプティコム→ mineo
- 株式会社エネルギア・コミュニケーションズ→ メガ・エッグ モバイル(U-mobileと提携)
- 株式会社 STNet → Fiimo
- 九州通信ネットワーク株式会社→ QTモバイル
このように西日本方面に偏っていますが、各電力会社系列による格安SIMサービスが続々とリリースされています。
どのくらい安いのか?
このような電力会社系の格安SIMの最大のメリットは何でしょうか?
実はこれらの電力会社系の格安SIMには、同系列の光ファイバーサービスと同時利用すると安くなるという割引制度があるため、ただでさえ安い通信料金をさらに安く利用できると言うメリットがあるのです。
先程例に挙げた株式会社ケイ・オプティコムはeo割、Fiimoでは新生活応援キャンペーンと称したFTTHとスマホセット割引(期間限定)などを実施しています。
その中でもひときわ目を引く安さを実現しているのが、九州電力グループの格安SIM「QTモバイル」。
こちらも期間限定になりますが、QTmobileスタートキャンペーンと銘打ち、NTTdocomo系SIMであれば通話+データ3GBプランの料金が990円/月(2年目以降は1,550円/月)となる割引を行っています。
川口春奈のCMがかわいいと評判になり、契約者数が増加しているようです。
プランは以下の通り。
データ容量 | 通話+データSIM | データSIMのみ | 2年目以降の料金 |
1GB | 890円 | 600円 | 1,450円/800円 |
3GB | 990円 | 700円 | 1,550円/900円 |
5GB | 1,590円 | 1300円 | 2,200円/1,520円 |
10GB | 2,690円 | 2,300円 | 3,260円/2,560円 |
NTTdocomo系MVNO他社と比較しても圧倒的に安く、2年間のトータルコストではOCNモバイルONEよりも3割ほど安くなる計算です。
地域電力系とは言えど通話・通信エリアは全国であるため(当たり前ですが)、該当地域に住んでいる方であればサービスの組み合わせにより家庭における通信料金及び電気料金を大きく削減することが可能ですね。
ちなみに、QTmobileは九州以外からの申し込みも可能。
ただし、その場合は九州電力のFTTH「BBIQ」サービス対象外であるため別途「BBIQメール会員」(月額200円)に加入する必要があるようです。
まとめ
このように、生活に関連するさまざまなサービスと格安スマホをセットで利用することにより生活コストを下げることが可能です。
今後、IIJなどがMVNE事業を拡大するにつれ新電力会社や電力以外のインフラであるガス会社など、いろいろな業界が格安SIM市場へ参入してくるのではないでしょうか。
消費者にとっては選択の幅が広がり、価格も安くなるこの状況は大歓迎ですね。
この記事を書いた人

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福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。
20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。