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NTTdocomoなど大手3社がMVNOの接続料値下げを発表!

NTTdocomoなどの携帯電話大手3社は、2017年3月31日にMVNOなどに対する接続料の値下げを公表しました。
発表資料によると、10Mbpsあたりの料金は各キャリアとも以下の様に改定されたようです。
- NTTdocomo:674,818円(14%↓)
- au:858,335円(10.6%↓)
- ソフトバンク:948,803円(17.6%↓)
※( )内は前年度との比較
このように、以前は突出して高かったソフトバンクがようやく他社より「少し高い」レベルまで値下がりしました。
日本通信をはじめとした各MVNOがソフトバンク回線の格安SIM事業の展開をスタートしたのはこの接続料値下げの効果です。
NTTdocomoもauも2割前後の値下げを行っており、MVNO各社にとっては非常にありがたい料金改定であると言えるでしょう。
接続料が下がるとどうなるのか?
では、この大手キャリアの接続料値下げは、MVNOにどのような影響があるのでしょうか?
もっともわかりやすい影響として、MVNO各社の収益改善につながることが挙げられます。
※接続料やMVNOの仕組みについては過去記事「MVNEとMVNOの違いを図解で解説。仕組みが分かれば超簡単!」を参照ください。
MVNO各社の収益が改善され経営に余力が出てくると、次のような動きにつながるであろうと言われています。
- 格安SIM利用料金の値下げ
ユーザーが格安SIMを利用する月額料金や初期費用が下がるのではないか。 - インフラの充実
直営店舗やサポートセンターなど、顧客満足度を向上させるような施設に投資する資金が生まれる。 - プロモーション
テレビコマーシャルや駅広告、有名タレントの起用など、これまでよりも目立つようなプロモーション手法を取り入れ新規ユーザーを増やすのではないか。 - 帯域を増やす
ユーザー数の増加に伴い通信トラフィックの混雑が目立つようになっているため、より多くの帯域をキャリアから借りるようになるのではないか。 - 取扱い端末のバリエーション増加
MVNO各社が格安SIMとセット販売する端末をより多くのメーカーから仕入れることが可能となり、バリエーションが増加する
このように、MVNO各社の収益改善によりさまざまなメリットが生まれてくるのではないかという声が相次いでいるのです。
MVNOユーザーへ還元される可能性は低い!?
しかし、上記5つの中で1については可能性が非常に低いと思われます。
というのも、格安SIMの利用料金は既にかなり安い水準で推移しており、MVNO各社は薄利多売状態から抜け出せなくなっています。
また、ユーザーの増加に伴い顧客満足度の低下も懸念されており、料金以外の部分でユーザーのメリットになるような施策を行う方向性が高いのではないでしょうか。
つまり、2や4といった投資に余剰資金を当てると思われます。実際、昨年から楽天モバイルやU-mobileなどは店舗展開を強力に推し進めており、全国各地で格安SIM取扱店舗が増加していくこととなりそうですね。
今後のマーケティング戦略が課題
同様に、3と5についても注目です。
LINEモバイルが盛んにテレビコマーシャルを打ち始めたのはみなさんご存知でしょう。このように多くのMVNOが新規ユーザーの取り込みに本腰を入れ始めています。
他にも、大学の新入学生にダイレクトメールを送ったり、ブランド名を一新してスポーツチームのスポンサードをしたりと、知名度向上に投資しているMVNOも見受けられます。
キャリアの高い利用料金に疑問を感じているスマホユーザーはまだまだ大勢います。新規ユーザーをより多く取り込んだMVNOが今後の市場のイニシアチブを握っていくのではないでしょうか。
まとめ
大手キャリアの接続料の値下げは、残念ながら既存ユーザーの利用料金値下げにはつながらないでしょう。
しかし、大手キャリアにと比較して見劣りしていたサービス品質の向上や機種の選択肢の増加など、何かしらのメリットを感じる施策をつながると思います。
今後、各MVNOから新年度の方針が続々と発表されるでしょう。どの会社がどのような方向性を打ち出してくるか、注目していきたいと思います。

この記事を書いた人

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福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。
20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。