MVNO国内シェアに変動あり!

2017年12月、調査会社のMM総研が発表した国内MVNO市場規模の推移(2017年9月末)によると、国内MVNO事業におけるシェア1位はこれまでのNTTコミュニケーションズ(OCN)に代わりインターネットイニシアティブ(IIJ)が獲得したことが判明しました。
長らくシェア1位の座を守り続けてきたNTTコミュニケーションズが首位から陥落したことも驚きですが、IIJの健闘ぶりはそれ以上の驚きをもって受け止められています。
今回はこのIIJがトップに立った理由を中心に、MVNO市場の動向についていくつかおさらいしておきましょう。
前回調査ではシェアを落としていたIIJ
今回首位となったIIJですが、実は2017年3月末の時点ではMVNOの中でのシェアを落としていたのです。
2017年3月末時点のシェアをMM総研作成のグラフを見てみましょう。

このように、プラスワン・マーケティング(FREETEL)やUQコミュニケーションズ(UQmobile)などの新興勢力に押され、2016年9月末と比較すると相対的にシェアを落としているのが分かるでしょう。
この時期急成長を見せた楽天(楽天モバイル)も背後に迫っており、IIJの先行きが不安視されていました。
ところが、今回発表された2017年9月末のシェアではこのようにトップに躍り出ています。

この理由についてMM総研は国内MVNO市場規模の推移(2017年9月末)の記事内にて、以下のようにコメントしています。
17年9月末時点より、NTTコミュニケーションズの独自サービス型SIM回線数を下記の通り見直しました。
・これまでMVNEとして提供されている回線の一部を自社ブランドとしてカウントし、同社の回線数に加算していました。その為、当該回線数を17年9月末より除外してシェアを算出しております。
つまり、これまで首位であったNTTコミュニケーションズ(OCN)はMVNOだけでなくMVNE事業の一部を契約数としてカウントしていたということ。
具体的には、同じグループ内で展開していた「ぷららモバイル」などが含まれていたものと思われます。従って、今回の調査では純粋に自社ブランドである「OCNモバイルONE」のみで算出したということですね。
このように、算出根拠を見直したことでNTTコミュニケーションズのシェアが低下し、相対的にIIJのシェアが上がったのです。
サービス移管したFREETELの扱いは?
ところで、2017年9月末のシェアからは「プラスワン・マーケティング」が消えているのに気が付いた方も多いでしょう。
プラスワン・マーケティングが展開してたFREETELは業績不振に伴い楽天へ事業譲渡されています。
参考記事:楽天モバイルがFREETELの買収を発表!加速するMVNO業界再編の今後を予測する
しかし、9月末時点ではまだ譲渡前であったため楽天のシェアには含めず「その他」に入っているのですね。
仮にプラスワン・マーケティングのシェアがそっくり楽天にプラスされたとしたならば、現在の首位は楽天(楽天モバイル)であることは確実でしょう。
ただし、NTTコミュニケーションズもIIJも、独自ブランドのMVNOだけでなく他社提供のMVNE事業を展開しています。
これらを含めるとまだまだこの2社のシェア占有率は高く、市場における価格決定などの主導権を握っているのはこの2社であることは間違いありません。
堅調な伸びを見せるMVNO契約数

あわせて、今回のレポートではMVNO全体の市場規模についても結果が発表されています。
それによると、MVNO契約数は934万回線を超え、1000万回線に迫る勢いで伸び続けています。
前年同月(2016年9月末)比で42.1%増とその勢いは衰えておらず、次回調査では1000万回線を超えるのではないかと思われます。
さらなる契約数及びシェア拡大に向けて、春モデルのスマートフォン発表とともに各社さまざまなキャンペーンを仕掛け、ユーザー獲得に力を入れてくることでしょう。
まとめ
MVNOシェア首位を狙う争いはIIJ、NTTコミュニケーションズ、楽天の3社を中心に今後も繰り広げられていきます。
NTTコミュニケーションズは早速グループ再編とサービス統合を行い、OCNブランド再構築に乗り出しました。
次回調査でどのような結果が出るのか、今後の首位争いが楽しみになってきましたね。
この記事を書いた人

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福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。
20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。