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いよいよ明らかになった日本通信のソフトバンク系格安SIM
2017年3月22日にサービスイン予定の日本通信によるソフトバンク系格安SIM。
その料金プランの詳細が、前日の3月21日に日本通信より発表されました。
同社の株価は販売ルートが発表された1週間前から上昇を続けており、スマートフォン市場だけでなく株式市場もこの商品の発表を心待ちにしていた様子がうかがえます。
さて、この日本通信による新サービスは、発表された直後より各種ニュースサイトでも速報として報じされていますが、あらためてこのサービスの料金プランを分析し、他社のプランと比較してみることとしましょう。
料金プランはデータ専用SIMの4種類
日本通信のホームページ上にて発表された料金プランですが、事前のリリース通り音声通話SIMは後回しとなり、とりあえずデータ通信SIMのみとなっています。
従って、通話をしないiPadのようなデータ専用端末用ということになります。手持ちのiPhoneで乗り換えるとなると、通話はskypeなどの通話アプリを用いた利用となります。
また、サービス名は「b-mobile S 開幕SIM」と決定しました。
同社のサービス名であるb-mobileの後ろにS(Softbank)をつけ、開幕SIMと名付けたようです。開幕というのが何を意味するのか定かではありませんが、おそらく「ソフトバンク系格安SIMの幕が開いた」という意味ではないかと推測されます。
だとすると、ちょっと自己陶酔型ネーミングですね。日本通信らしいと言えばらしいです。
では、その料金プランを見てみましょう。
日本通信 b-mobile S開幕SIM(データ専用) | ||
初期費用 | パッケージ料金 | 3,000円 |
月額費用 | 1GB/月 | 880円 |
3GB/月 | 1,580円 | |
7GB/月 | 2,980円 | |
30GB/月 | 4,980円 |
※すべてのプランで契約期間の”縛り”は無し
また、対応端末は以下のように記されています。
【ソフトバンクのSIMロックされた以下の端末】
iPhone 5以降 / iPad Pro / iPad Air以降 / iPad mini 以降 / iPad / iPad 2 / iPad(第3世代)/ iPad(第4世代)。
※もちろん、SIMフリー端末であれば機種を問わず利用可能です。ただし、後述の理由からSIMフリー端末保持者はこの「b-mobile S 開幕SIM」を選択する理由はありません。
ソフトバンク及びY!mobileとの比較
この「b-mobile S 開幕SIM」の利用者は、多くがソフトバンクからの乗り換えとなる見込みです。
ソフトバンクユーザーはこれまで利用料金を安くしようと思った場合、SIMロック解除以外の選択肢はY!mobileしかありませんでした。そのY!mobileにしても他のMVNOと比較すると若干割高であり、NTTdocomoやauのユーザーと比べると多少不利であったと言えます。
しかし、これからは(今のところ音声対応SIMがラインナップに無いですが)日本通信SIMという新しい選択肢ができたことになります。
では、競合となるソフトバンク及びY!mobileの月額料金プランと比較してみましょう。
なお、上述の通り日本通信には音声対応SIMが無いため、通話分を除いたデータ通信料金のみで比較しています。
データ容量 | 日本通信 | ソフトバンク | Y!mobile |
1GB/月 | 880円 | 3,200円 | |
2GB/月 | 3,800円 | 1,980円 | |
3GB/月 | 1,580円 | ||
5GB/月 | 5,300円 | ||
6GB/月 | 2,980円 | ||
7GB/月 | 2,980円 | ||
14GB/月 | 4,980円 | ||
20GB/月 | 6,300円 | ||
30GB/月 | 4,980円 | 8,300円 |
各社プランのデータ容量が異なるため一概に横並びでの比較はできませんが、日本通信の安さが際立っているのがお分かりいただけるかと思います。
また、ソフトバンクやY!mobileには契約期間の縛りがあり、解約時の違約金も大きいため気軽に乗り変えることができないことを前提とした料金プランです。
現在、ソフトバンクやY!mobileでタブレットなどの音声通信を必要としない端末を利用している人であれば、日本通信に乗り変えることで大きな価格メリットを感じることができるでしょう。
他社MVNOとの比較
一方で、NTTdocomoなど他社ユーザーが利用するMVNOと比較してみたらどの程度異なるのでしょうか。参考までにMVNO他社と「b-mobile S 開幕SIM」の料金プランとを比較してみました。
こちらは各社ともデータ専用SIMの料金プランで比較しています。
データ容量 | 日本通信 | OCNモバイルONE | 楽天モバイル | フリーテル |
1GB/月 | 880円 | 499円 | ||
3GB/月 | 1,580円 | 1,100円 | 900円 | 900円 |
5GB/月 | 1,570円 | 1,520円 | ||
6GB/月 | 1,450円 | |||
7GB/月 | 2,980円 | |||
10GB/月 | 2,300円 | 2380円 | 2,470円 | |
20GB/月 | 4,150円 | 4,170円 | 4,870円 | |
30GB/月 | 4,980円 | 6,050円 | 5,520円 | 6,980円 |
このように、30GB以外のデータ容量では日本通信が最も高いという結果になります。
30GB/月を利用するようなヘビーユーザーであれば「b-mobile S 開幕SIM」が最も価格メリットがありますが、それ以外のプランだと他社MVNOの方が価格メリットはあります。
つまり、ソフトバンクSIMロック端末保持者であれば日本通信がベストですが、ソフトバンク端末保持者でSIMロック解除ができる方であれば他社MVNO利用が価格的にはベターということですね。
「b-mobile S 開幕SIM」は、あくまでもソフトバンク契約者で、かつロック解除できない端末保持者向けのプランということがここからもわかります。
協業するU-mobileは?

日本通信が自社でサービスするSIMについては上記のような料金プランとなっています。
ところで、日本通信はMVNEでもあり、他社へMVNOサービスを提供しています。
今回、ソフトバンクSIMにおけるMVNOサービスは、この日本通信からサービス提供を受けているU-NEXTも同時にリリースする予定です。
U-mobileブランドで展開しているU-NEXTも、自社ショップはもちろんのこと各家電量販店などで販売を予定しております。このU-mobileブランドでの料金プランについては、後日あらためて記事にしたいと思います。
あわせて、U-NEXTはヤマダ電機と共同でY.Uモバイル株式会社を設立し、格安SIM販売を手掛けると発表しています。こちらはブランド名が「ヤマダファミリーモバイル」に決定しており、4月1日からサービスインする予定です。
この「ヤマダファミリーモバイル」はU-mobileのサービスを利用するため、同様にソフトバンク系SIMの取り扱いも予定されています。
このように、まだ数社ではありますが日本通信を軸としてソフトバンク系SIMの取り扱いを開始する企業が出てきています。これらの企業が今後どのような戦略を取ってくるのかについても注視していきたいと思います。
待たれる日本通信の設備増強
今回はデータ通信SIMのみのリリースであるため、それほど大きなユーザー移動は無いと思われます。あまり大量にユーザーが押し寄せると一気に速度低下するのがMVNOの特徴でもあるため、現状ではその心配はあまり無いと言っても良いでしょう。
まとめ
日本通信は先日の発表会席上にて、「ソフトバンクのユーザー数は4000万。このうち427万がMVNO潜在ユーザーである。日本通信は当面100万ユーザーを目指す」と明言しています。しかし、ソフトバンクユーザーは多くがiPhoneを利用し音声通話をしているため、今回のプランには食指が動かないでしょう。
今回はとりあえず顔見世的なリリースであり、勝負は音声通話SIMを発売してからではないでしょうか。後日、音声対応SIMの発売が決定したらまた追ってレポートいたします。

この記事を書いた人

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福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。
20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。