先行き不透明な格安スマホ業界

まさに「激動」と呼ぶにふさわしい2017年が幕を閉じ、新しい年を迎えた格安スマホ業界。

ここ数か月、事業撤退・売却や店舗網の縮小など暗いニュースが続いていますが、契約者数は相変わらず増加の一途をたどっており上位の事業者の業績は堅調に推移しています。

しかし、大手キャリアの価格攻勢やサブブランド優遇施策により、業界全体が販売体制の見直しを迫られていることも事実です。

そこで今回は新年最初に記事として2017年の格安スマホ業界を簡単に振り返り、2018年の業界及び主要各社の事業展開予想などを解説してみたいと思います。

格安スマホ業界激動の2017年

2017年の格安スマホ業界は、大いなる希望とともに幕を開けました。

前年の2016年には格安スマホの認知度が一気に上昇し、総務省発表の「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (平成28年度第3四半期(12月末))によると、MVNO契約者数は1,485万(前期比+4.1%、前年同期比+27.7%)、そして移動系通信の契約数に占める比率は8.9%(前期比+0.3ポイント、前年同期比+1.7ポイント)と大きくシェアを伸ばしていました。

この勢いは2017年も継続し、携帯電話全体の契約者数に占める割合は15%に迫るのではないかという見方さえありました。

これまで対応できなかったソフトバンク系のスマートフォンに関しても格安SIM対応が可能になるというニュースもあり、格安スマホ事業者は鼻息荒く2017年を迎えたことでしょう。

■HUAWEI P9

また、スマートフォン本体に目を向けてみても、2016年秋モデルとして発売されたHuaweiのP9シリーズが予想以上の大ヒット

低価格ながら高解像度のカメラを搭載しデザイン性にも優れたP9Liteは瞬く間に格安スマホのスタンダードモデルと呼ばれるまでになりました。

始まった大手キャリアの逆襲

一方、ユーザー流出が続いていた大手キャリアも、ただ傍観していたわけではなりません。

2017年に入りさまざまな「格安スマホ対抗策」を打ち出してきました。
主な施策は以下の通りです。

1、格安料金プランのリリース

NTTdocomoの「docomo with」、auの「ピタットプラン」など、従来よりも安い料金で利用できるプランを相次いでリリース。

条件が限定されるものの、月額料金が一気に数千円下がるユーザーも出るなどかなりのメリットがありました。

2、新型iPhoneの「48回払い」導入

■iPhoneX

新機種リリースごとに価格が上がるiPhone。

最新のiPhoneXではとうとう10万円を超え15万円に迫るモデルも発売されました。

そうなると月々の分割費用も高額になってしまいますが、大手キャリアは48回分割により毎月の料金を安くするプランを導入しました。

3、サブブランド優遇によるユーザー囲い込み

ソフトバンクのY!mobile、auのUQモバイルはそれぞれサブブランドと呼ばれ、同一グループ企業による運営を行っています。

MNPによる他社流出を防ぐためこの2社はサブブランド優遇キャンペーンなどを行っており、ユーザーがグループ内に留まるよう囲い込みを行いました。

このように大手キャリアが「攻め」に転じたことで格安スマホ業界は苦戦を強いられ、ユーザー数の伸びが鈍化することとなったのです。

想定外の伸び悩みと事業再編

■参考:https://blg.freetel.jp/news/21563.html

また華々しくデビューしたソフトバンク系格安SIM事業も、思った以上にユーザーが獲得できず苦戦
先駆者となった日本通信の惨敗と言える結果につながります。

そして2017年最も衝撃的だったのがFREETELの動向でしょう。

春先には有名タレントを使ったテレビコマーシャルでユーザー数を大きく伸ばしたかに見えましたが、業績不振から夏にはMVNO事業を楽天モバイルに売却することを発表。

今後はスマホ製造事業に専念すると発表しておきながら、12月には民事再生手続きを開始するなど、盛者必衰という言葉の意味をまざまざと見せつけてくれました。

躍進する中国スマホメーカー

■Huawei公式サイト:http://www.huawei.com/jp/

そんな激動の国内MVNO事業ですが、スマートフォンに目を移してみると相変わらず高性能低価格の機種が市場に溢れています。

特に中国メーカーHuaweiの躍進はすさまじく、日本国内に開発製造拠点を新設するなど今世界中で最も勢いのあるスマホメーカーであると言えますね。

2017年には合計8機種を新発売するなどその勢いはとどまるところを知りません。またASUSZTEといった海外勢も同様に多くの機種を市場に投入しています。

この勢いは2018年も継続するでしょう。

2018年はこうなる!(MVNO事業者)

激動の2017年の流れをそのままに、2018年もMVNO事業者にとっては試練の年となりそうです。

想定される出来事をいくつかピックアップしてみましょう。

1、進む吸収合併

国内MVNO事業者は500とも600ともいわれています。

しかし、しっかりと収益をあげている事業者は少なく、中にはMVNO事業が重荷となっている企業もあります。

2018年は昨年以上に事業の買収や統合、あるいは撤退が相次ぐことが予想されます。

特に大企業のバックボーンを持たない中小MVNOは試練の時です。

吸収合併を繰り返し、徐々に大手MVNOに集約されていく流れが起きるでしょう。
雨後の筍のように乱立したMVNOが、いよいよ成熟フェーズに入った証でもあります。

2、さらなる値下げがあるか?

■総務省

総務省からの指導により、大手キャリアのMVNOに対する回線使用料の見直しが行われています。

これにより、早ければ2018年4月には回線使用料の値下げが行われるでしょう。

これによりMVNO各社の収益改善につながるはずです。

値下げの規模にもよりますが、値下げ分をキャンペーンなどの形でユーザーに還元することも行われるでしょう。
ただし、恒常的な値下げには踏み切れないものと思われます。

3、MVNO間のMNPが進む

現在、各社ほぼ横並びの料金体系ですが、今後はnuroモバイルの「Xperia専用帯域」のように料金・サービスの差別化が進みます。

プレミア感を持たせたサービス、料金プランの選択肢を広げたサービス、機種選定に独自性を持たせたサービスなど、MVNO間の差別化が進み、ユーザー側もMVNO間でMNPする機会が増えるでしょう。

4、サブランド規制

■Y!mobile:http://www.ymobile.jp/

サブブランドのY!mobileとUQmobileに対する風当たりが強まる年です。

現在大手キャリアから優遇されている両社ですが、大手キャリアからの乗り換え優遇キャンペーンなどを適用できなくなる可能性があります。

2年縛りが常態化するなどほぼ「料金が安い大手キャリア」と化している両社は、今度ユーザー流失に対する対策を何かしら打ってくることになりそうです。

5、楽天モバイルのキャリア進出は?

楽天モバイルが携帯周波数を獲得するかもしれないというニュースは2017年最も大きな出来事だったと言えるでしょう。

しかし、どのようなキャリア事業を展開するかは未だ不透明です。

2018年にはある程度事業の方向性が見えてくると思いますが、現在の楽天モバイルのサービスにはさほど影響しないと思われます。
大きく変化するのは2019年に入ってからでしょう。

2018年はこうなる!(スマートフォン)

一方のスマートフォンメーカー側にはどのような変化が訪れるでしょうか。
予想される主な動きをまとめてみました。

1、日本進出を目論む海外メーカーの増加

他国と比較してiPhoneのシェアが極端に高い日本。とはいえ、多くのユーザーが「iPhoneでしかできないこと」の限界に気付いており、ブランド力のみで購入を続けているのが現状です。

価格も高止まりしており、キャリアが行う「48回分割」の弱点が表面化するのも時間の問題です。

■OPPO F1s

従って、Androidスマホに対する需要はさらに高まると思われ、それを見込んでOPPOシャオミなどの中国や台湾の格安スマホメーカーの本格参入が相次ぐことが想定されます。

2、おサイフケータイへの対応

ソニーやシャープといった国内メーカースマホはおサイフケータイ機能に対応していますが、海外メーカーの多くは未対応です。

Huawei幹部もおサイフケータイ対応を明言しており、今後発売されるAndroidスマホはおサイフケータイ機能に対応したモデルとなるでしょう。
そうなると格安スマホのシェアが一気に拡大することが見込まれます。

3、2極化が進む価格帯

Androidスマホの価格も2極化してくるでしょう。

具体的には、2~3万円台の低価格帯エントリークラスと8万円を超える高価格帯のハイスペックに2極化すると思われます。

それに伴い、Androidスマホの中古市場も拡大するでしょう。

現在はiPhoneに比べてリセールバリューの低いAndroidスマホですが、市場が整備されることで徐々に適正価格となっていくと思われます。

まとめ

2018年も多くの動きが想定される格安スマホ業界。
まずは2018年春モデルの発表と共に各社どのような戦略を打ち出してくるかが見どころです。

ユーザーにとっては、MVNO事業者の中で生じるサービスの差を見極め、多くの選択肢を持てる1年になるのではないでしょうか。
各社の新モデルがどこまで進化するかにも注目ですね!

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この記事を書いた人

h.katsura
h.katsura
福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。
20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。