目次
はじめに
VAIO Phone BizはVAIO株式会社が「真の」VAIOスマホとして自ら開発・販売を行うWindows 10スマホです。
VAIOの名を冠するスマートフォンは、以前AndroidOSを採用する機種が世に出ていますが、名前以外にはあまり「VAIOらしさ」がなく、評判の方は今ひとつでした。
その反省を活かす形で、VAIO Phone Bizはとても「VAIOらしさ」にあふれる端末に仕上がっています。
ただ、OSが非常にマイナーと言えるWindows 10 Mobileを選択していますので、出来ないこともそれなりに存在する端末です。
そのあたりも含めて、VAIO Phone Bizの使い勝手をレポートします。
スペック
最初に簡単にスペックをまとめておきます。
スマートフォンの心臓部のチップ、SoCにはクアルコム製の「Snapdragon 617」を搭載。
CPU部はハイエンド機に迫る性能がありますが、統合されている画面描画用のプロセッサであるGPUの性能は抑え気味で、トータルではミドルクラスからミドルハイと呼ばれるクラスのスマートフォンに採用されるチップです。
画面はやや大きめの5.5型フルHD液晶を採用しています。
メインメモリは3GB、ストレージは最近のスマホとしてはやや控えめな16GBとなっています。
マイクロSDXCスロットを装備していて、内蔵ストレージが不足するときにはこちらで補うことは可能です。
マイクロSDカードと排他になりますが、一応、SIMカードを2つ挿せる仕様になっています。
ただし、2つめのSIMスロットでの動作は保証外になります。
VAIO Phone BizはマイクロSIMを使う仕様です。
nano SIMを手配してしまったのでアダプターを介してSIMカードをセットしています。
充電/USBコネクタはマイクロUSBタイプです。
USB OTG(USBホスト機能)がありますので、いろいろな周辺機器をUSBコネクタに接続して使うことが出来ます。
使い心地
5.5型画面を搭載している関係で横幅は広めなのですが、持ってもあまり大きさを感じない端末です。
サイズ感はこんな感じ。隣はXperia Z5です。
裏面がラウンドしていて少し持ち上がったところにはっきりしたエッジを刻んである関係からか、実際の厚さよりもずっと薄く、持ちやすく感じる形をしているようです。
見た目上の面積が大きいせいか、実際の重さよりもずっと軽く感じる機種ですね。
重量は167gあって特に軽いスマホではないのですが。
また、背面のサンドブラスト加工された金属筐体は、夏に持ってもひんやり・サラサラな感触で、とても肌触りが心地よいです。「精密機器」らしさを伝えてくれるいい感触です。
画面は明るく見やすい表示で色もかなり鮮やか。発色の癖も少なくて、写真などもキレイに見られる品質があります。
大きめの5.5型液晶を搭載する分、コンテンツの再生は結構迫力があります。電子書籍との相性もなかなかいい感じですね。
Windows 10 Mobileの操作は、いわゆる「サクサク」です。
非常に機敏に動作してくれて、普通に使っている範囲ではストレスを感じることはまずありません。
購入してすぐの頃は、指ではじくようなフリック操作をしたときに、スクロールスピードにかなり違和感(はじいたあとスクロールスピードが減速するような感じ)があったのですが、OSのアップデートを重ねるうちにそのあたりはほぼ完全に解消した感じです。
今は、とても自然な操作感になりました。
また、スクロールは「ヌルヌル」とても滑らかに動いてくれます。
アプリの起動や動作もスムーズで小気味よい感じですね。
カメラの性能
Windows 10 Mobile搭載スマホの共通の弱点がこのカメラの性能だと思います。
残念ながらVAIO Phone Bizもその例に漏れずです。
すごく「油絵」タッチの写真が仕上がります。
画像のノイズを消す、ノイズリダクションの処理を効かせすぎている感じで、コンクリート壁などの細かな質感がキレイに消えてしまうことが多くなっています。
また、輪郭線の強調処理もかなり控えめで、どうしても画面全体的にシャキっとした雰囲気のない仕上がりになりがちです。
あと、最近のスマホのカメラとしては色のバランス(ホワイトバランス)が安定しないケースが多い目なのもちょっと困る点です。
ただ、通常は色もキレイに出てくれます。
このあたり、ほぼ同じカメラのセンサーを使っていると思われるマウスコンピュータのMADOSMA Q601は、カメラの画質の面でかなり頑張っているようです。
これを見るとWindows 10 Mobile標準のカメラアプリでもチューニング次第でまだ画像を追い込めるようですので、VAIO Phone Bizももうちょっと頑張って欲しいところです。
解像度自体は十分にありますのでメモ用などには十分な性能がありますが、作品作りにはちょっとまだ性能不足な感じがあります。
あと一つ困るのはオートフォーカスが遅くて、合わないケースが結構あること。
画面の触れたところにピントを合わせるタッチフォーカスを出来るだけ使うことで、少しだけ軽減は出来ますが、それでも結構ピントを外すケースがあります。
ここは、Windows 10 Mobile標準のカメラアプリを使うすべてのスマホ共通の弱点のようです。
マイクロソフトには出来るだけ早い対策を期待したいところです。
DMM Mobileの通信速度
VAIO Phone BizにはDMM Mobileの2GB+音声通話のSIMをさして利用しています。
参考:DMMモバイル公式
今回通信速度の測定を行ってみると、やはり平日昼休みの時間帯には1Mbpsを大きく割る通信速度が計測されました。
これでは、昼休みにネット動画を見ることもまず不可能そうです。
この時間帯のYahooのトップページの表示はかなり遅くはなりますが、読めなくはないかな?ぐらいの感触です。
Web情報サイトのインプレスウォッチはスマホ用の表示を持っているものの、画像枚数が多いせいか表示しきるのは正直待ちきれないレベルの遅さです。
個別のページの表示はそこそこ実用に耐えます。
これぐらいの使用感ですね。
ただ、こういった通信速度の落ち込みは、格安SIMを使っている以上やむを得ない部分があると思っています。
昼休み時間帯に速度が大きく落ちこむ日でも、それ以外の時間帯では実用性の高い通信速度が出ていましたので、あまりこの部分は気にしていません。
測定の結果はこのような感じです。
測定時間:10:00ごろ
●DMM Mobile
下り 上り
1 10.99Mbps 2.25Mbps
2 14.28Mbps 3.56Mbps
3 12.60Mbps 3.73Mbps
●ドコモ
下り 上り
1 20.56Mbps 9.58Mbps
2 18.06Mbps 6.19Mbps
3 23.15Mbps 9.18Mbps
測定時間:12:45ごろ
●DMM Mobile
下り 上り
1 0.37Mbps 2.01Mbps
2 0.42Mbps 2.08Mbps
3 0.35Mbps 2.33Mbps
●ドコモ
下り 上り
1 17.73Mbps 7.19Mbps
2 16.12Mbps 6.27Mbps
3 18.92Mbps 7.12Mbps
VAIO Phone Bizで使ってるDMM Mobile回線の測定には、マイクロソフト製の速度測定ツール「Network Speed Test」を使っています。ドコモ回線はXperia Z5と「RBB TODAY SPEED TEST」を使いました。
測定ツールが異なるので厳密な比較にはなりませんが、目安的に見ていただければと思います。
昼休みでない時間帯でも全体的にドコモの方が通信速度が出ていますが、DMM Mobileの回線でも実用上全く問題ない数字は出ていると思います。
体感上、Webの閲覧などでは性能差を感じるシーンはほとんどありません。
Windows 10 Mobileならではの機能
・Continuum(コンティニュアム)
Windows 10 Mobileならではの機能といえば、Windows 10スマホをデスクトップパソコン的に利用可能になる携帯電話向けContinuum(Continuum for Phones)があります。
今のWindows 10 Mobileにはマルチウィンドウ機能がありませんので、大きな画面を使っても情報量の点では完全ではなく、Windowsパソコンでアプリを「全画面表示」で使うような感じになります。
それでもやはり大きな画面でアプリを使うのは色々な面で楽です。
VAIO Phone Bizでは無線LANの技術を使うMiracastという方式での画面接続になります。
今までは専用のレシーバーが必要だったんですが、パソコンのWindows 10のバージョンアップで、無線LAN機能を備えたパソコンがMiracastレシーバーになれるようになりました。
パソコンのデスクトップ画面の中にウィンドウで表示されているのが、VAIO Phone BizのContinuumで送られた画面です。
ここではWORD Mobileを動かしています。
これで、出先にWindows 10の搭載したパソコンがあれば、ほとんどどこでもContinuumが使えるようになった、とも言えると思います。
VAIO Phone Biz 1つだけ持って出張に出かける、なんてこともだんだんと現実味が出てきたかもしれません。
・Windows PCとの抜群の相性の良さ
パソコン用のWindows 10では、マイクロソフトのクラウドストレージサービスのOneDriveがOS本体に組み込まれる形で一体化しています。VAIO Phone BizでもOneDriveが簡単に利用できるようになっています。
ですのでWindows 10パソコンとVAIO Phone Bizを併用すると、各種データの共有などがとても簡単に行えるようになっています。
VAIO Phone Bizで撮った写真やスクリーンショットを、パソコンからすごく簡単に使える形にできます。逆にスマホ側で使いたいデータをパソコンで用意して、簡単にWindows 10スマホに持ち込むことも出来ます。
VAIO Phone BizにはOffice Mobileが最初からインストールされていますので、マイクロソフトOfficeの文書ファイルをスマホで参照したり、簡単なレポートをスマホでまとめて、帰宅してからパソコンで仕上げる、なんて使い方もすぐに出来るようになっています。
VAIO Phone Bizで良かったところ
わたしはスマートフォン向けの流行のゲームなどは一切遊んでいないので、スマートフォンでは出先でネット経由の調べ物、メールチェック、スケジュールの確認程度が出来れば十分というちょっと今だと特殊かもしれない事情があります。
ですので、スマートフォンをヘビーに使う方とはちょっと色々な感じ方が異なると思います。
そんななかでVAIO Phone Bizを使ってみて良かった点をまとめてみます。
・Windows PCとの抜群の相性
まず一つは上にも書きました、Windows PCとの抜群の相性の良さです。
手もとで使うパソコンをすべてWindows 10にアップグレードしてからは、その感触がより強くなった気がします。
とにかく簡単にデータの共有ができるのはわたしの使い方ではとても大きいですね。
こちらはVAIO Phone Biz側のOneDriveアプリの画面で、実際にOneDriveの中身を表示しています。
使い勝手もどの場面でもどこかWindows 10 PCで見たような画面ばかりで、この後どうすればいいのかがすぐに理解できます。
・VAIOらしさ
背面のVAIOの文字が刻まれた金属筐体部分の丁寧な仕上げなど、VAIOらしさ満点のボディーがすごく持ってうれしい端末です。
性能面こそミドルクラスのものとなっていますが、最近では珍しくなったかもしれない、その機種を持つこと自体がうれしいスマホの一つではないかと思います。
ある機能が欲しいからこのスマホを買う、ではなく、この機種が欲しいからこの機種を買う、そういう端末なのかなぁと思います。
VAIO Phone Bizの不満点
VAIO Phone Bizの不満点となりそうなポイントは、基本すべてWindows 10 Mobileの弱点、と言っていいところになります。
この部分はなかなか解消してくれないかもしれません。
・流行のスマホゲームは全滅
これはわたし自身は困ってはいないのですが、多くのユーザーがVAIO Phone BizなどのWindows 10 Mobile端末を避ける大きな理由の一つになるのではないかと思います。
とにかくゲームだけではなく、流行の多くのアプリがなかなか移植されない現状があります。
Windows 10と名前がつくことでAdobeのFLASHが動くことを期待する方もいるかもしれませんが、実はこれもアウトです。パソコンと同じブラウザEdgeが動きますが、FLASHプレイヤーは含まれていません。
ですので、ほとんどすべてのブラウザゲームも動きません。
・DMM Mobileの速度切り替えアプリが未対応
DMM MobileはAndroidやiOSには通信速度の高速モード、低速モードを切り替えられるアプリを提供しているのですが、これがWindows 10 Mobileには移植されていません。
このためVAIO Phone BizではDMM Mobileの通信速度切り替えの活用がちょっと面倒です。
この点で考えると若干月々の利用料金は高めになりますが、VAIO Phone Bizと相性がいい格安SIMはIIJmioの方かもしれません。
IIJmioの速度切り替えアプリ通称みおぽんは、しっかりとWindows 10のユニバーサルアプリ版がリリースされているのです。
ちなみにユニバーサルアプリ版みおぽん、普通のWindows 10パソコンでも動きます。
まとめ
わたしの個人的な感触では、もしわたしが携帯電話をスマートフォンに乗り換えたときに、Windows 10 MobileスマホとWindows 10 PCがあったなら、XperiaシリーズではなくWindows 10スマホを選んでいたと思います。
それぐらいWindowsパソコンとの併用の際にはメリットが大きいと感じています。
このあたりには、わたしが流行のスマホゲームを一切遊ばない、という点はかなり大きく影響しているとは思いますが。
Webでの調べ物、メール、SkypeやLINE、ツイッターなどのインスタントメッセンジャー的なアプリは、Windows 10スマホにもだいたい揃っていますので、実用上特に困るシーンがない、というのが大きいです。
出先でも仕事をすることがありますので、そちらの面からはOffice Mobileを標準で載せている安心感も大きいですね。
仕事のメインの舞台は自宅のWindows PCですので、そちらとのデータのやりとりがとても楽なもの非常にありがたいところです。
※個人の感想です。

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