ソフトバンクと日本通信が相互接続でついに合意!

■日本通信  参考:http://www.j-com.co.jp/news/1617.html

以前の記事(2017年にはいよいよソフトバンクの回線も解放されるかもしれない)で、2017年に向けてソフトバンクと日本通信が相互接続に向けて協議しており、協議が難航しているため総務省に申し立てを行いその回答待ちである旨の説明をしました。

その後、協議内容に進展があったためあらためて今回の協議内容を振り返ってみたいと思います。

2017年2月1日、日本通信は以下のような内容のプレスリリースを発表しました。

  • ソフトバンクと日本通信が相互接続で合意した
  • 2017年3月22日(水)よりソフトバンクのiPhoneとiPadで使える格安SIMを販売する
  • 協議が合意に達したので総務省への申し立ては取り下げる
  • 1日でも早くソフトバンク携帯の利用者に安いサービスを提供したい

このように、難航していたソフトバンクとの交渉が進展し、ソフトバンクの回線を使った格安SIMを販売できる見通しが立ったという内容です。
現時点でまだ料金プランなどはリリースされていません。ただ、話題性などを考え比較的安い価格帯の料金プランを投入してくるのではないかと言われています。

【追記:その後の動き一覧】
3月28日 
【店頭リサーチ】U-NEXTによるソフトバンク格安SIM「U-mobile S」が発売開始!
3月22日 
「開幕SIM」をb-mobile(日本通信)が発表!その料金プランを他社と徹底比較!
3月18日 日本通信、ソフトバンクSIMの販売ルートを発表!

なぜ総務省に申し立てを行ったのか?

今回のこの合意の背景には、日本通信が総務省に対して行った「接続協定に関する命令申立書」の存在があります。ごくシンプルにわかりやすく言うと、
「ソフトバンクが相互接続に応じないので総務省さん何とかしてください」
という申し立てです。

ではなぜソフトバンクは相互接続に応じなかったのでしょうか?
その理由を説明するには、まずMVNOの仕組みについて理解する必要があります。

MVNOとは、Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)と呼ばれており、今回申し立てを行った日本通信はMVNOの位置付けです。
対するソフトバンクは自前で通信インフラを持つMNO(Mobile Network Operator)と呼ばれます。NTTdocomoやauもMNOであり、自社の通信インフラを使ってユーザーにサービスを提供しています。

MVNOが事業を開始するには、MNOから通信インフラを借りなければなりません。
この「通信インフラを借りる」ことを「相互接続」と呼びます。

相互接続を行うことにより、MVNOはMNOの通信インフラをあたかも自前の通信インフラの様に利用することができ、MNOと同じように全国均一レベルの通信を可能としているのです。
また、小規模MVNOのために、システムやサポートなど通信事業者として必要なあらゆるインフラを提供する会社をMVNEと呼びます。
日本通信はMVNEとしての側面も持っているのです。
※参考までに、他の回の記事「MVNEとMVNOの違いを図解で解説。仕組みが分かれば超簡単!」も参照してください。

つまり、ソフトバンクはMNOであり、日本通信はMVNOとMVNEの機能を持っている会社です。日本通信はMNOであるソフトバンクに相互接続を申し入れたのですが、交渉が難航していたのです。
ではなぜ難航していたのか、を少し掘り下げてみましょう。

交渉が難航していた理由についてはいくつかその要因が挙げられています。オープンな場での交渉ではないためどれも推測の域を出ませんが、そのどれもがさもありなんという理由です。

1、相互接続料が高い

MNO3社の中で、MVNOからMNOに支払う相互接続料金を見るとソフトバンクが最も高いのです。
公開されている資料によると、auはNTTdocomoの約1.2倍、ソフトバンクは1.5倍の料金が発生します。
この料金差はそのままMVNOの事業者数に影響しており、現在のMVNO事業者はほとんどがNTTdocomo回線を利用したサービスを展開しているのです。

2、SIMロック解除しないとNG

ソフトバンク側は、「SIMロックしている端末はMVNOでは使えない」というポリシーを打ち出しています。
SIMロックとは特定の事業者以外のSIMを使えないようにロックした状態のことです。つまり、ソフトバンクで購入した端末にはSIMロックかかかっており、それを解除しないとMVNOのSIMは使えないように制限をかけているのです。

ちなみに、他のMNOも販売時にSIMロックをかけていますが、NTTdocomoはSIMロックがかかっていてもMVNOのSIMが使えるようにしています。なお、SIMロックを解除するには購入から181日目以降になります。

3、SIMロック解除できない端末がある

実は2に関連して問題となったのが、ソフトバンクは2015年4月以前に発売された端末は、一部を除いてSIMロック解除を受け付けていません。圧倒的なシェアを誇るiPhone6や5Sなどは、SIMロック解除ができないのです。
つまり、これらの機種ではMVNOが利用できないということです。

4、技術的な問題がある

相互接続に際しソフトバンク側の通信ネットワークに大規模な改修が必要となり、資金的に難しいという説明があったとのことです。なお、総務省側に対してはこれについての具体的な説明は特に無かったとのこと。

このようにいくつか理由があり、MNOとしてのソフトバンクは相互接続に(結果的に)難色を示していたのです。

総務省が下した判断とは?

■総務省 参考:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01shingi02_01000015.html

交渉が難航したため、日本通信は総務省に対して申し入れを行い、総務省は2017年1月27日に協議再開命令を出すことが妥当とする答申をまとめました。わかりやすく言えば、
「ソフトバンクの言うことは筋が通ってないからちゃんと話をしなさい」
ということです。

日本通信側としては完全勝利に近い内容でしょう。上に挙げた理由のうち、1については企業間取引であるため総務省は強く言えませんが、2,3,4についてはソフトバンク側の主張を一蹴しました。
従って、SIMロックしている端末であってもMVNOの提供するSIMで通信が可能となるよう協議を進めることができるようになったのです。

ただし、やや話題先行気味の感も・・・。

この総務省による答申は大きなニュースになりました。これを受け、冒頭の様に日本通信はソフトバンクの端末に対するMVNOサービス開始を発表しました。

ただし、あくまでも日本通信の要望する方向で協議再開をしたという段階であり、この時期のサービス開始発表はややフライング気味という印象を受けます。
同社は以前VAIOフォンでも同様に先行発表を行い、発表会当日にはVAIOフォン本体の実機が無く箱だけ公開したという過去があるため、話題先行型の企業というイメージがぬぐえません。

実際、ソフトバンク端末に対するMVNOサービスについて、サービスインの時期は発表していますがプランや価格は後回しとなっています。
また、2月3日に同社の福田尚久社長が行った会見によると、当初は「データ通信SIMのみ」のMVNOであり、音声SIMに関しては「ソフトバンク側と協議する必要があり、なるべく早いうちに開始する」と述べるに留まりました。

つまり、ソフトバンクで圧倒的なユーザー数を誇るiPhone利用者は音声対応SIMが出るまでしばらく様子見するしかないということです。3月22日という発売時期も、少しでも決算に向けてよい数字を出したいという思惑が見え隠れします。

ただ、この発表に市場は敏感に反応しました。発表後には日本通信の株価が急騰し、日本通信がMVNEとなってサービスを提供しているU-NEXTの株価もつられて上昇しました。

■日本通信の株価(ヤフーファイナンス)参考: http://stocks.finance.yahoo.co.jp/

ソフトバンク回線を利用したMVNO今後の展望

とにもかくにも、まずは3月22日に日本通信の格安SIMが発売されます。その料金プラン、使い勝手、そして音声対応SIMのリリース時期などにより、ソフトバンクユーザーの多くがMVNOへ流れ込むことになるかも知れません。

一方、ソフトバンクのサブブランドであるY!mobileも黙ってないでしょう。格安SIMにユーザーが流れるのを防止するため何かしらの対策を打ってくるはずです。
おそらく価格だけでなく、iPhoneなどの端末ラインナップでまずは対抗してくると予想されます。

また、日本通信はMVNEであるため、他のMVNOが新たに日本通信との契約を行い、独創的なサービスを展開する可能性も捨てきれません。
実際、日本通信につられて株価が上昇したU-NEXTは、ヤマダ電機とのMVNOサービスに関する合弁会社の設立を表明しています。
新しい会社名はY.U-mobile株式会社となる予定であり、U-NEXTのMVNO事業におけるアドバンテージと、ヤマダ電機の販売力のシナジー効果を見込んだ事業展開を行う予定です。

これまでヤマダ電機も「YAMADA SIM powered by U-mobile」というU-NEXTネットワークを使った独自の格安SIMを販売してきましたが、家電量販店という性格上こればかり売るわけにはいかないという事情があります。

U-NEXTと強固なパートナーシップを組むことで販売現場の心理的負担を軽減させることはもとより、日本通信がMVNEとしてソフトバンク回線を利用した格安SIMの提供を開始することにより、横並びの家電量販店の中から一歩抜き出ることを目指していると思われます。
にわかに騒がしくなってきたソフトバンクを取り巻くユーザー争奪戦。
しばらく目が離せませんね。

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この記事を書いた人

h.katsura
h.katsura

福岡出身のフリーライター。就職を機に上京し人材コンサルタントや外資系ITベンチャー企業に勤務。

20年余の東京生活にピリオドを打ち2015年に福岡へUターンしフリーライターとして活動開始。